食べることによって起こる健康被害に食中毒があります。
食中毒は原因物質により、細菌性食中毒・ウイルス性食中毒・化学性食中毒・自然毒食中毒、その他に大別されます。
食中毒の最も多いのは、年間発生件数の半数以上の7月~9月にかけての3ヶ月間が温度や湿度が高く細菌が増殖し、多くの場合、下痢・嘔吐・発熱・腹痛などの急性の胃腸障害を起こします。
これ以外の季節でも、冬期には牡蛎が原因とみられるノロウイルスが原因の食中毒が多く発生し、キノコやフグなどによる自然毒食中毒は、それぞれその食材の旬にあたる秋から冬にかけて多く発生します。
平成9年にノロウイルスやその他のウイルスが食中毒の病因物質に追加され、平成11年には従来、感染症として取扱われていた赤痢やコレラなどが食中毒の病因物質に追加され、飲食に起因する健康障害は食中毒として取扱われることになりました。
食中毒の場合、以前は、人から人へ感染しないと考えられていたが、腸管出血性大腸菌O-157、ノロウイルス、赤痢菌などは感染力が強く、人から人へ感染する危険性があり、国際的には食感染症として伝染病とあわせた対策がとられるようになりました。
植物性自然毒として
毒キノコ(ベニテングダケのイボテン酸、他多数)
ジャガイモのポテトグリコアルカロイド(ソラニン)
青梅のアミグダリン
日本三大有毒植物として有名なのが
トリカブトのアコニチン
ドクゼリのシクトキシン
ドクウツギのコリアミルチン
動物性自然毒として
ヘビやハチ、サソリなども動物性自然毒ですが、ここでは食品として考えた場合、魚貝類がほとんどになります。
フグのテトロドトキシン
牡蛎のノロウイルス
巻き貝のテトラミン
あさり、カキの有毒プランクトン
魚介類の有毒渦鞭毛藻の原因とされるシガテラ
細菌による食中毒を予防する三大原則は、
1.付けない(清潔を意識し、洗う・分ける・包む)
2.増やさない(迅速に処理し、冷却、乾燥)冷蔵・室温で長く放置しない事
3.確実な殺菌処理(中心まで加熱・調理器具の殺菌)
昔の人はウイルスや自然毒には効果がありませんが、薬味を利用して細菌の繁殖を抑える方法を教えてくれています。
生肉には辛味成分ジンゲロンやショウガオールの生姜やアリシンを含むにんにくは強い殺菌・抗菌作用があります。
生魚にはアリルイソチオシアネートという強力な抗菌成分を含むわさび。
お弁当には防腐作用のベンズアルデヒドを含む梅干しなど。
様々な経験と工夫で、美味しくもしてくれています。