一時期、低体温化問題やダイエット等で生姜紅茶がブームになりましたが、生姜自体は昔から大変、重宝されていた食物です。
まず思い出すのが、生姜を薄く切って甘酢漬けし、生ものの寿司の薬味として使われる「がり」。
殺菌作用が高く、食中毒を防ぐ効果や魚の臭みを取ったり、口なおしの役割も果たしました。
焼き魚に添えられる「はじかみ」も同じ効果を目的としています。
煮魚や豚肉の生姜焼きも、やはり臭みを消し生姜独特の風味や香りで食を進めながら、生姜の殺菌作用やたんぱく質を柔らかくする酵素を利用するなど、生活の知恵として古くから利用されてきました。
この強い殺菌作用等は、生姜に含まれる成分のジンロゲン、さらに辛味成分であるジンゲロール、ショウガオールなど。
生姜には殺菌作用、血行促進作用、利尿作用、循環器機能を高めるなどといった効果がありますが、特に体を温め、体全体の血流をよくすることが、さまざまな分野に良い効果をもたらす事につながってゆく一番のポイントだと思います。
生の生姜のジンゲロールという成分は手足先・足先などの血管を拡張して体の末端を温めます。
また、加熱すると大部分が、ショウガオールに変わり、胃腸の血行を促し、体のエネルギー消費を高めてくれる作用があるので、薬味の生姜も風味があっていいものですが、加熱してとるとさらに効果が増します。
飲みものとしては、生姜紅茶以外にも、生姜湯、ジンジャー・エールなどがあります。
刺激の強い食品なので、体にいくら良くても一度に大量にとらずに、一日10g見当で少量を体と相談しながら、こまめに摂取して下さい。
生姜の原産地は南アジアで、ショウガ科の多年草です。
温かい気候の地域に生息し、ある程度の湿度や保湿力のある土壌を好むことから、日本や中国を初めインドなどでもかなり昔から栽培され、伝統医学の方面でも利用されて来ました。
欧米ではハーブとしても生姜を活かしています。
国内では高知が40%以上の収穫をあげ、次いで熊本や千葉などが生姜の産地として有名です。
根生姜の収穫期は10~11月。地上部が枯れはじめてきたころに根茎を掘りだし、茎を切り取って出荷し、この時期に店先に並ぶものを新生姜と呼ばれ、すじが少なくて柔らかい。貯蔵したのち出荷される物を、古生姜、ひね生姜と呼んでいます。
生姜は熱帯性作物で、温度が高いと芽が出たり、低いと腐敗するなど、結構繊細な食物なので、使った残りは、洗って水気を切り、表面が乾いたらラップに包んで冷蔵庫の野菜室で保存。
また、おろした生姜は、一回分ごとにラップで包み、冷凍庫に保存。
食べる時には、自然解凍をすれば、風味も栄養分もそれほど失われることはありません。
その他の生姜には…
葉生姜(谷中生姜など)
生育しはじめて小指大ほどになったとき、葉をつけたまま出荷。
茎元が鮮紅色になる品種で、夏から秋にかけて店頭に並び夏の風物詩といえます。
矢生姜
遮光して栽培し、葉茎が15センチほど伸びたころわずかに太陽に当てて茎元を鮮紅色にする。その形から筆しょうがともよばれています。
生姜の種類としては…
黄金生姜…契約農家が独自で開発したもので、一般の大生姜よりジンゲロール、ショウガオールの成分を多く含む。
三州生姜…日本の伝統的な生姜で黄生姜とも呼ばれ、一般の大生姜よりジンゲロールの成分を多く含む。
大生姜…現在、国産品として出回っている商品のほとんどを占めているものです。
最後に、生姜紅茶の効果については、まず簡単に作れること。
熱い紅茶に、生姜をすりおろして、お好みで黒砂糖、蜂蜜を入れるだけ。
体が温められ発汗が促進され、血液の流れがよくなり血液の汚れをとり消化機能も促進され、リラックス効果とともに、利尿作用で余分な水分を排出します。
冷え、むくみ、便秘、水太り、抑うつ気分、ダイエット(ウォーキングやジョギングとともに)などのお悩みのある方は、一度期間を決めて試してみてはどうでしょうか。
最近は抗酸化作用が老化の原因のひとつの活性酸素を除去する働きから、アンチエイジングの手助けとしても見直されています。
また薬湯として、生姜をそのままや布袋に入れたりして湯船に入れると、冷え性・神経痛・腰痛・風邪の予防・不眠症などの効能が期待できます。