日本で漢方の風邪薬というと、まず思い浮かぶのが葛根湯ですが、中国の漢方医が使う代表的な風邪薬は、銀翹散です。
風邪のひき始めの症状は、大きく分けて「風寒」と「風熱」の2つのタイプがあり、「風寒」の時は葛根湯、「風熱」の時は銀翹散が適応します。
銀翹散が日本であまり知られてこなかったのは、作られたのが東洋医学がもっとも発達発展した17世紀の清の時代、そのころの日本は江戸時代。
鎖国をしていたために、その前の漢の時代に著された医学書「傷寒論」を基に作られた葛根湯が風邪薬として定着し、清の時代の「温病理論」に関して書かれた銀翹散の情報が伝わってこなかったといわれています。
この生薬は、特に、熱が上がり、関節痛やのどの痛みが出る、インフルエンザの治療薬としても注目されています。
【配合生薬】
金銀花(きんぎんか):12g、連翹(れんぎょう):12g、薄荷(はっか):6g、淡豆し(たんとうし):9g、荊芥(けいがい):6g、淡竹葉(たんちくよう):9g、蘆根(ろこん):15g、牛蒡子(ごぼうし):9g、桔梗(ききょう):6g、生甘草(なまかんぞう):3g
薄荷・牛蒡子・淡豆鼓により表熱を発散し、金銀花・連翹の清熱解毒により炎症を鎮めます。淡竹葉は、解熱の効果があり蘆根は消炎・抗菌を補助し軽度の栄養・滋潤作用があります。(蘆根の代わりに羚羊角を用いたものもあり、羚羊角は鎮痙熄風の効果が強いとされています。)
咽の流れをよくする桔梗・甘草により咳・痰を緩和し、荊芥は発散の力を助け、これらの相乗効果で、よりよい効果を発揮します。
【適応症】
寒けのない風邪症候群、咽頭炎などに用いられます。
かぜによるのどの痛み・口(のど)の渇き・せき・頭痛など、インフルエンザのように喉が痛くなり、高い熱が出る風邪に効果があります。
【使用上の注意】
短期間の服用にとどめ、連用はしないでください。
妊婦又は妊娠していると思われる人、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)は服用前に医師又は薬剤師に相談してください。