当帰芍薬散は女性の聖薬ともいわれ、月経トラブルをはじめ女性特有のさまざまな症状に広く用いられています。
色白で冷え症、やせ型で体力のあまりない人に向く処方で、体の疲れ、冷え性、生理不順、生理痛、生理前後の不快症状、不妊症、むくみ、頭痛、めまい、肩こり、更年期障害など血行をよくして体をあたため、貧血症状を改善します。
また、痛みをやわらげたり、ホルモンバランスを整える効果も期待できます。
婦人科でもよく用いられる桂枝茯苓丸とともに、よく用いられています。
当帰芍薬散は昔から安胎薬とよばれ、お産がすむまで用いると、つわりが軽く妊娠中毒にもなりにくく、お産も軽く産後の肥立ちも上々といわれています。
【配合生薬】
当帰(とうき):3g、川きゅう(せんきゅう):3g、芍薬(しゃくやく):4~6g、茯苓(ぶくりょう):4g、蒼朮(そうじゅつ)または白朮(びゃくじゅつ):4g、沢瀉(たくしゃ):4~5g
当帰と川きゅうには、血行をよくして貧血症状を改善し、体をあたためる作用があり、芍薬は生理痛や肩こりなどの痛みをやわらげる生薬です。
蒼朮、沢瀉、茯苓は、漢方の代表的な利尿薬で、むくみ症状を改善し、これらの相乗効果で、よりよい効果を発揮します。
【適応症】
比較的体力の低下した人で、冷え症、疲れやすい、貧血、頭痛、めまい、肩こり、動悸、耳鳴りなどの症状がみられる場合の月経不順、月経困難、月経異常、月経痛、不妊症、慢性腎炎、血圧異常、更年期障害、産前産後または流産後の障害、腰痛、つわり、痔、足腰の冷え、めまい、むくみ、しみ、にきびなどに用いられます。
【使用上の注意】
腹痛、食欲不振、胃部不快感などの症状が現れることがあります。
胃腸の弱い人は、人参湯や六君子湯などの一般に胃腸薬の分類に入る処方を合わせ用いた方がよい場合があります。
また生理痛に使用する場合などは、胃腸薬も兼ねて安中散の併用が有効です。