小柴胡湯 ショウサイコトウ

胃炎やカゼ、喘息などにも用います。
胃腸、呼吸器の働きを改善し、また、体の免疫機能を調整し炎症をやわらげます。そして、体の疲れをとり、病気の回復を助けます。


小柴胡湯は、病院でよく使われてきた漢方薬ですが、肝炎の治療にしばしば処方されてきました。
しかし、一般に報道されているほど小柴胡湯が肝炎・慢性肝炎に対して有効なものか?という問題が提議されています。


以下、「医薬品・医療用具等安全性情報 No.158」 より引用

 

小柴胡湯の間質性肺炎については,これまで数度にわたり継続的に注意喚起を行ってきたがその後平成10年以降も本剤と関連性が否定できない間質性肺炎が50例(うち死亡例8例)報告されている。肝硬変又は肝癌のある患者に使用されて重篤な転帰をたどる例が多いことから,これらの患者への使用を禁忌とするなど,注意を喚起することとした。

 

(1)経緯
小柴胡湯による間質性肺炎の副作用については,平成3年4月に使用上の注意の「副作用」の項に記載し,平成4年12月には更に「一般的注意」に記載した。また,インターフェロンと小柴胡湯の併用例でも間質性肺炎が報告されたことから,平成6年1月にはインターフェロンとの併用が禁忌とされた。しかし,平成6年1月の使用上の注意の改訂以降も,平成8年3月に「慢性肝炎における肝機能障害の改善の目的で投与された患者で間質性肺炎が起こり,重篤な転帰に至ることがある。」旨の記載の「警告」を新設し,「緊急安全性情報」の発出を指示し,更に平成9年12月には発熱,咳嗽,呼吸困難,肺音の異常(捻髪音),胸部X線の異常等があらわれた場合には,直ちに投与を中止すること,及び患者への注意を徹底することを「警告」に記載し継続的に注意喚起を行ってきた。しかしながら,平成9年12月の「警告」の改訂以降も本剤の投与との関連性が否定できない間質性肺炎が50例(うち死亡例が8例)報告され,肝硬変又は肝癌のある患者に使用されて重篤な転帰をとる例が多いことから,これらの患者及び肝硬変が疑われる「血小板数10万/mm3以下の患者」を禁忌とするなどの「使用上の注意」の改訂を行った。

 

(2)症例の紹介
平成9年12月「警告」の改訂以降報告された50例については,男性34例,女性16例,年齢は40歳代から80歳代(平均66.5歳),投与期間は8日から202日(平均50日)で,発症から中止までの期間は平均3日以内であった。転帰については改善が42例,死亡が8例であった。報告例について,患者の疾患名と報告例数を表1に示す。死亡の転帰を
とった例は肝癌のある患者では4例中3例,肝硬変では7例中2例,慢性肝炎では24例中2例(C型1例,不明1例),肝機能障害では7例中1例であった。また,肝硬変の患者で重篤化した症例は,発症前の血小板数が10万/mm3以下であった。

 

(3)安全対策
1)肝硬変又は肝癌の患者に使用して発現した間質性肺炎が重篤化した症例が多いことから,これらの患者には投与しないこととし,また,肝硬変の患者で重篤化した症例では血小板数が10万/mm3以下であったことから,血小板数が10万/mm3以下の患者には投与しないこととする。更に,肝硬変に移行している可能性のある血小板数15万/mm3以下の患者を慎重投与とし,小柴胡湯を投与中は,定期的に血液検査を行い血小板数の変化に注意し,血小板数の減少が認められた場合には,投与を中止することとする。

 

実証(体力が充実していること)の人に用いられるのは大柴胡湯です。
小柴胡湯は、やや実証から中間証あたりまでの人に用いられます。

【配合生薬】
柴胡(さいこ):4~7g、半夏(はんげ):4~5g、生姜(しょうきょう):4g、黄ごん(おうごん):3g、大棗(たいそう):2~3g、人参(にんじん):2~3g、甘草(かんぞう):2g

 

柴胡と黄ごんの組み合わせにより、炎症をしずめる効果が高まり、半夏は、胸のつかえ感や吐き気をおさえる生薬です。
滋養作用のある人参、炎症や痛みを緩和する甘草などが配合され、これらの相乗効果で、よりよい効果を発揮します。

 

【適応症】
体力が中等度以上の人で、上腹部が張って苦しい、吐き気、食欲不振、微熱などの症状がみられる場合の肺炎、胃炎、胃腸虚弱、胃腸病、疲労倦怠感、咳、微熱、頭痛、腹痛、疲労感、風邪の後期症状、気管支炎、気管支喘息、熱性疾患、口内不快、急性熱性疾患、胸部疾患、肺炎、リンパ節炎、腎臓病、貧血症、産後の回復不全などを改善します。

 

【使用上の注意事項】
インターフェロン製剤の投与を受けている人は使用できません。著しく体力の衰えている人や妊婦も使用できない場合があるので、医師または薬剤師に相談してください。
肝硬変にいたっている場合、あるいは体がひどく弱っている人には用いません。

直葬・天国への引越