年齢を重ねるごとに体の機能が衰え、不調を感じる人も少なくありません。
そのような不調を感じた時、役に立つ漢方薬が八味地黄丸です。
八味地黄丸は腎臓や膀胱の働きを改善し、体を温めることによって、体調を整えてゆきます。
一般的に高齢の人に用いることが多く、体力が低下し、顔色もすぐれず、冷えをともなうときに向きます。
足腰の痛みやしびれ、腎機能低下にともなう夜間頻尿、性機能低下、乾燥肌のカユミや湿疹などに用います。また、そのような症状をともなう前立腺肥大症や糖尿病、腰痛、白内障、にも適応します。
腰から下、臍から下の薬として、食欲があり胃腸に問題のない人に用います。
【配合生薬】
湯剤=地黄(じおう):5~6g、山茱萸(さんしゅゆ):3g、山薬(さんやく):3g、沢瀉(たくしゃ):3g、茯苓(ぶくりょう):3g、牡丹皮(ぼたんぴ):3g、桂皮(けいひ):1g、加工附子(ぶし):0.5~1g
地黄には、貧血症状を改善し元気をつける作用があります。山茱萸や山薬にも滋養強壮作用があり、地黄の働きを高めます。
茯苓と沢瀉は、水分循環をよくする生薬で、牡丹皮は漢方でいう「お血(おけつ)」を治す生薬で、血行障害を改善し血のめぐりをよくします。さらに、体をあたため痛みをとる桂皮と附子が加わり、これらの相乗効果で、よりよい効果を発揮します。
【適応症】
疲れやすい、手足の冷え、下肢痛、腰痛、五十肩、肩こり、しびれ、坐骨神経痛、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ、糖尿病、坐骨神経痛、動脈硬化、慢性腎炎、ネフローゼ、萎縮腎、勝胱カタル、脚気、更年期障害、高齢者のかすみ目、老人性湿疹、低血圧、高血圧、前立腺肥大、陰萎などを改善します。四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で時、口の渇きなどをともなう、特に中年以降の、疲れやすい人に用いられます。
【使用上の注意】
体力が衰えている「虚証」向けの方剤なので、体力が充実し、暑がりで、のぼせのある人には不向きです。
胃腸が弱く、食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢などを起こしやすい人は慎重に用いるようにします。
暑がりでのぼせの強い赤ら顔の人、著しく胃腸の弱い人や、食欲不振、吐き気、嘔吐のある人、妊婦などは使用できない場合があるので、医師または薬剤師に相談してください。
八味地黄丸を長く飲んでいると、地黄が胃腸障害をおこし食欲不振になることがあります。