五苓散は、水毒・水飲・痰飲に対する代表的な方剤です。
水分循環を改善し、無駄な水分を取り除き、はき気や嘔吐、下痢、むくみ(浮腫)、めまい、頭痛などに用います。
体質(証)にそれほどこだわらず、口が渇き、尿量が少ないことを目安に広く用いることができます。
利尿作用をもつ代表的な方剤で、主薬の猪苓を中心に5種類の生薬からできているので、五苓散と呼ばれるようになりました。
喉の渇きがあって、尿利が減少する場合、または嘔吐、下痢、頭痛、腹痛、浮腫などのいずれかを伴う方に用います。このとき熱が出る急性病もあり、熱のない慢性病もあります。
暑気あたりで熱が出て、頭痛がしたり、身体が痛んだりして喉が渇いて水を飲みたがる方にも用います。
漢方医学・薬学に入門当初、真っ先に覚えるのが、「葛根湯」と「五苓散」、それに昨今評判の悪い「小柴胡湯)」といわれています。
【配合生薬】
沢瀉(たくしゃ):5~6g、猪苓(ちょれい):3~4.5g、茯苓(ぶくりょう):3~4.5g、蒼朮(そうじゅつ)または白朮(びゃくじゅつ):3~4.5g、桂皮(けいひ):2~3g
猪苓をはじめ、利尿作用のある生薬がいろいろと配合されています。
桂皮は軽い発散薬で、頭痛やめまいによいとされ、これらの相乗効果で、よりよい効果を発揮します。
【適応症】
口渇、二日酔い、胃内停水、吐き気、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水瀉性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹の物には使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、ネフローゼ、腎炎、黄疸、糖尿病、暑気あたり、尿量減少などの症状がある場合に用いられます。むやみにのどが渇いて、水を飲むにもかかわらず尿量減少するもの。
【使用上の注意】
発疹やかゆみなどの過敏症状が現れることがあります。