なぜ人は眠るのか?という問の一番の答えは、 私たちが起きて活動している時間には、体も動いていますが、大脳が行っている情報処理量は莫大なものになります。
疲労してくると、大脳にはガンマハイドロオキシ酪酸と呼ばれる有害な物質が溜まり、筋肉の疲労は身体の活動を抑えること(休息をとること)によって修復されていきますが、大脳に蓄積された疲労を取り除くには、睡眠しかありません。
また、睡眠中はさまざまなホルモンが分泌され、体を修復し、新陳代謝を促進します。
発育初期には脳を創り育てるという大切な側面もありますが、脳に関してはまだまだナゾが多いです。
睡眠時の脳波の状態
脳波にはα波・β波・θ波・δ波の4種類があります。
覚醒時 目が開いている時はβ波(13Hz以上) 目を閉じているとα波(8~13Hz)
レベル1 入眠時はα波が減り、浅い眠りにθ波(4~8Hz)が出てくる
レベル2 眠りに入った状態で睡眠紡錘波が現れる
レベル3 δ波(4Hz以下)が20~50%未満
レベル4 δ波が50%以上
ノンレム睡眠は脳の休息とも言われ、脳波の状態によって1~4の4つのレベルに分けられます。一番深い睡眠(通常レベル3~4)は徐波睡眠と呼ばれ、ゆったりした脳波δ(デルタ)波がみられます。
同時に脳代謝量は低下し、脳温も下がって休息状態にありますが,入眠後の深い睡眠時に成長ホルモンが分泌し、組織の増殖や損傷に対する修復をはかっています。
子供がよく眠るのは、このあたりの成長ホルモンの必要性が大きく影響していると思われます。
生理的にみた1日の総睡眠時間は新生児で16~17時間、4 ケ月児で14~15時間、1歳児で12~13時間、小児期で10~12時間、青少年期で8.5~10.5時間と次第に短縮します。
睡眠時間の短縮はおもに昼間の睡眠の減少で、夜間の睡眠量はあまり変わりません。
青年期から中年期にかけて睡眠時間は7~8時間とほぼ安定しますが、その後は加齢とともに短縮する傾向にあります。
ただ、実際にはそれぞれの個人差や住んでいる場所や季節によっても睡眠時間はかなり個人差があります。